エクセル業務の地位向上と効率化の両立を

エクセルのまちがった役割分担
エクセルを作ってあげる人、見るだけの人達、が自然と形作られる「二極化」は取り立てて特殊な現象ではなく、残念ながらどこの企業でも起こっているようです。
二極の一方「作る側」個人も迷惑ですが、会社にとっても放置すれば取り返しのつかない大きな被害を被ります。
経営者の方々は
『一人一台パソコンを支給したから我社もIT化が大きく前進した!』とよく勘違いしますが、装置を購入しただけではIT化でも改革でもありません。
Officeプリインストールの罪
日本ではOffice付きパソコン販売が定着してしまっています。
Officeはパソコンについてきた「おまけ」だから使う、使わないは本人の自由、使えないことへの罪悪感を感じない風潮が生まれました。おまけなどではなくセット価格なのにです。
会社から支給されるパソコンも同様に支給側、利用者側双方が「おまけ感覚」から抜け切ることができないようです。
意図せず発生するスキル差
ところが意図せず「導入?」してしまったエクセルは実務で大活躍することになります。
理由はエクセルに代わるものがないからです。「意識の高い人」はこの事を知っていますから、多くの業務を効率良くこなすために活用します。
「意識の低い人」はエクセルの習得は業務ではない、と都合よく解釈します。エクセルの活躍に対し半信半疑なのでちょっとした機能も覚えられません。
パソコン配布で責任を果たしたと思っている会社は「意識の差」「スキルの偏り」を許してしまいます。
「僕は文系だから見るだけね」とエクセルの活用放棄を胸を張って「宣言」する人間も中には居たりします。エクセルができない新人を配属されて、人事の採用担当に文句を言ったら、「各部署で教育してください」と言われたりもします。
ペン習字なら、うまい下手は「個人責任」と言っても良いかも知れませんが、エクセルで何とか業務をこなしているオフィスで「個人責任」は無責任ですね。明らかに仕事の「能力差」のはずなのですが。
報われにくいエクセル力
ところがエクセル業務処理能力は一般の業務とは別ものかのように「評価」と無縁であることが多いようです。評価側の人間が「能力差・二極化・ITの進化」に無関心である証拠です。
さらに9割の人達が苦手と感じるエクセルは同一作業であっても、使い方によって処理スピードは数百倍もの差が出ます。そしてこの差は、数百倍のスピードで仕事している人だけが感じることができ、9割に当るできない人や管理職は知る由もないのです。
できる人ができない人の「教育」を受け持ったり、仕事のの穴をカバーしたり、一般社員の何倍もの業務をこなしていても「評価」されない事はよくあります。
こんな環境を放置しておくと、「作る人・見るだけの人」という二極化をますます悪化させることになり、できる人できない人、会社の3者が共に被害を被ることになります。

エクセル「二極化」の症状チェック
・エクセルの「おまけ感覚」あり
・エクセル業務の存在を知らない
・エクセル不使用を許す甘い体質
・エクセルは一般教養、個人責任
・エクセルは得意な人が教育会社はノータッチ
・成果が正しく評価されない
・エクセルをブラックボックスと呼ぶ
二極化が生み出す損失
二極化は「作る側」個人も迷惑ですが、会社にとっても放置すれば取り返しのつかない大きな被害を被ります。
その1:できない人の損失
エクセルとは一部の専門職が定期帳票を作成配布する集計専用ツールではなく、本来は職場全員が駆使し、様々な情報を共有すべき分析ツールのはずです。
「私は文系なのでエクセルは見るだけ」とうそぶきながらあれこれ要望を出す、身の回りの業務を改善できない非効率を何とも思わない社員こそが会社にとっての損失です。
その2:できる人の損失
集計係に追込まれた人は分析の時間を犠牲にして集計に明け暮れています。
「分析」と「集計」は似て非なるもの。過去の数字を集計している間は単なる「作業」であり、集計作業から新しい価値が生まれることは殆どありません。
できる人の本来の使命は、直接利益に結び付く「分析」や「未来予測」です。
・創造的業務に時間を使える環境整備
・エクセル業務は創造的なものを優先
・エクセル業務現場の地位向上を優先
・「価値創造のチャンス」を経営者が理解する
その3:ブラックボックス誤解
集計係に追込まれた人は、繰り返し作業を効率化するために、新しいテクニックを身に付けようとします。大半の企業は、スキルアップ志向を歓迎しますが、社内にはエクセルの高度活用を好まない人たちも存在するようです。
開発者以外に理解できない事はリスクだ、業務標準化のために「ブラックボックス」は排除すべきだと言うのです。私も実際に「エクセル・マクロ禁止」や「高度の関数使用禁止」という企業に出くわした時は非常に驚きました。
こんな間違ったリスク回避の考え方は、会社にとって大きな損失です。できる人間が不利益を被り、できない人間はお咎めなしなら、社員は自らスキルアップなどしなくなり、二極化を助長、できない人のレベルはより低下し、できる人への負担が大きくなってしまいます。
「働き方改革」の先鋒RPAは個々のスキルアップが前提となりますが、これをブラックボックスと呼んでいたのでは改革は一向に進まず、取り残されることになります。
以上「三重苦」は日本の企業に巣食う一種の「負の法則」とも言えそうです。
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